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病気

 相手方が重い病気にかかったとしても、それだけでは、なかなか離婚原因と認められない傾向があります。

 裁判例を見ていくと、看病などで誠意ある対応を尽くしていたような場合には離婚請求が認められやすく、そういった対応をしていないような場合には認められにくいと取れる面もあります。

 例えば、妻がアルツハイマー病とパーキンソン病に罹患したケースで、長野地裁平成2年9月17日判決は、妻が夫婦間の協力義務を果たせないでいることなどを理由に、夫からの離婚請求を認めましたが、その控訴審である名古屋高裁平成3円5月30日判決は、「看病はおろか、入院生活の援助もせずに放置し、将来に亘る誠意ある支援体制を示さず、妻の希望する子供との交流さえ拒む、夫の態度のみによって、婚姻が回復しがたいほど破綻していると求めることはできない。」などとして、一審を覆し、離婚請求を認めませんでした

 このケースからも、純客観的に破綻しているかどうかというよりは、離婚請求をする側の対応などといった事情が、考慮されているように思われます。


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信仰を巡る問題

 信仰を巡る問題も、夫婦関係破綻の原因とされることがあります。

 例えば、東京地裁平成9年10月23日判決は、夫が元々ある宗教を信仰し、妻もこれを許容して結婚したものであったところ、後に妻が別の宗教に入信し、熱心に宗教活動を行うようになり、夫婦関係が悪化したケースで、「夫婦間の亀裂や対立は既に一〇数年にわたって継続されてきたものであり、これまでにも何度となく話合いがもたれ、その間、被告においてもいったんは原告との離婚を了承したこともあったことなどの経緯に照らすと、今後、どちらか一方が共同生活維持のため、相手方のために譲歩するというようなことは期待できないものといわざるを得ないのであって、原告と被告間の婚姻関係はもはや継続し難いまでに破綻しているものと認めるのが相当である」としています。

 この事案で、妻は、夫からの離婚請求は、離婚をするか信仰を捨てるかという選択を迫る者で、信教の自由を犯すものだというような主張もしていますが、「こうした根源的な問題についての対立が今後とも解消し得ないものと認められる結果、それはどちらの側が悪いというようなものではないのであり、原告のみが宗教的寛容さを欠いた有責者であると断ずることはできないというべきである」と判断しています。


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相手が同居を望むのに家を出ると有責配偶者になるか?

 以前、長期の別居が離婚原因となるということを書きました(「別居期間の長さ」

 一般的には、3年くらいの別居があると、婚姻が破綻していると認められやすいです。

 一方で、有責配偶者が離婚請求をする場合には、かなり長期の別居期間が必要になる上、未成熟の子がいないこと、相手方が離婚によって過酷な状態に置かれないことも必要になります。

 さて、夫婦の一方が同居を希望しているのに、他方が家を出て別居をして、期間が経った場合は、どうなるのでしょうか。

 もし、家を出た方が有責配偶者ということになれば、簡単には離婚請求が認められないということになります。

 こうしたケースについて、横浜地裁昭和59年7月30日判決は、「原告の勝気でやや自己中心的ともみえる行動が婚姻関係を破綻に導いた一因であることは否定できない。」としながらも、被告が一方的に自分の意見を押し付けるばかりで、原告の話に耳を傾けようとしなかったことなどから、対話による関係修復の可能性はなかったとして、原告の態度のみを非難することは相当でないとし、離婚請求を認めています。

 このように、家を出るに至る事情として、一方的に非があるということでなければ、有責配偶者とはならず、一定期間別居が続くことにより、離婚請求が認められうると考えられます。

 もっとも、家を出る事情としては一方的に非があるとは言えなくても、生活費の支払い義務がある側が家を出て、その後生活費も入れないなどといった場合には、悪意の遺棄をしたなどとして、有責配偶者とされる可能性があるかもしれません。


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多額の借金

 前回扶助義務違反について書きました。

これに少し関連しますが、時々相手に借金があることが発覚したから、離婚したいという相談を受けたりすることがあります。

しかし、単に多額の借金があるというだけで、直ちに婚姻関係が破綻していると認められるわけではありません。

 裁判例にも、多額の借金があって生活費にも事欠く状況になっている事案で、借金問題以外には特に支障となる事情がなく、妻が共働きをすれば返済も生計の維持も楽になるといえ、借金の理由もやむを得なかったなどとして、離婚請求を認めなかったものがあります(仙台地裁昭和60年12月19日判決)。


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同居扶助義務違反

 夫婦には、同居し、扶助する義務があります。

 それゆえ、なんら正当な理由がなく、行き先も告げずに、家に寄りつかないというようなことがあれば、悪意の遺棄とされる可能性があります。

 ただ、一応仕事のための主張・外泊で、行き先を告げ、全く帰宅しなかったわけではないケースでも、月の大半出張・外泊が繰り返され、生活費も少額しか入れなかったようなケースでは、悪意の遺棄とまではいえないものの、婚姻を継続しがたい重大な事由があるとして、離婚請求が認められ例があります。


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プロフィール

吉成安友

Author:吉成安友
荒川区西日暮里にMYパートナーズ法律事務所を開設している弁護士です。
多様な案件を取り扱っていますが、このブログでは、離婚に関する法律知識を不定期で提供していきたいと思います。

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